2026年8月17日

佐渡にまた、夏が来た。

こんにちは。研修医2年目のOです。

5月から7月までは外病院で研修していたため、この夏、少し久しぶりに佐渡に戻ってきました。

朝、医局に入ると、どこからともなくコーヒーの香りがします。

「ああ、戻ってきたな。」

数か月ぶりなのに、なんだか懐かしく感じます。

医局事務の皆さんからは「おかえり」と声をかけていただき、廊下ですれ違うスタッフの方々は笑顔で挨拶をしてくださる。

先生方からも「久しぶりだね」と声をかけていただきました。

たった数か月島を離れていただけなのに、不思議と「帰ってきた」と思えました。

外に出てみて、あらためて気づいたことがあります。

佐渡総合病院は、やっぱりなんだか居心地がいいです。

もちろん、研修は楽なことばかりではありません。

わからないことは毎日ありますし、PHSは遠慮なく鳴ります。

カルテの前で手が止まることだって、まだまだあります。

それでも、悩んだ時にすぐ相談できる先生がいて、忙しい中でも手を止めて教えてくださる看護師さんがいて、患者さんの「その後の暮らし」まで一緒に考える空気があります。

数か月外に出たからこそ、この病院の良さが少し見えた気がします。


さて、佐渡といえば、やっぱり夏です。

去年の夏、私は佐渡でダイビングをしました。

海の中は、想像していたよりずっと静かでした。

少し潜るだけで周りの音が遠くなり、光だけがゆらゆら揺れている。

同じ島にこんな世界があったのか、と驚いたのを覚えています。

そのほかにも、流しそうめんをして、BBQをして、鼓童を見て、満天の天の川を眺めて……。

振り返ってみると、かなり佐渡の夏を満喫しています。

「佐渡の夏、全部楽しんだのでは?」

そのときは本気でそう思っていました。

でも、どうやらそんなことはなさそうです。

そして気づけば、佐渡で過ごす2度目の夏です。

今年は何をしよう。

海に入るのか。

山に登るのか。

花火を見るのか。

夕方の加茂湖をぼんやり眺めるのか。

あるいは、当直明けに眠気と戦いながら、冷たいアイスコーヒーを飲んで終わるのか。

それもまた、佐渡の夏ということで。


今の時期は地域研修で、都心から他病院の先生方も佐渡に来ています。

初めて佐渡に来た先生たちが、海を見て、山を見て、魚を食べ、そして病院で患者さんと向き合っている姿を見ると、去年の自分を思い出します。

あの頃は、見るものすべてが新鮮でした。

佐渡に来たばかりの頃は、島の距離感にも驚きました。

「ちょっとそこまで」が、普通に車で30分だったりします。

天気や船の都合で、島外への移動が難しくなることもあります。

専門的な医療につなぐにも、家族の支援を考えるにも、地図の上では見えない「距離」があります。

そして一年経った今、景色だけではなく、その先にある患者さんの暮らしにも少しずつ目が向くようになりました。

退院したあと、どこで暮らすのか。

誰が薬を管理するのか。

通院は続けられるのか。

冬になったら雪は大丈夫だろうか。

病気だけを見ていても、診療は終わりません。

1年目の頃より、そんなことまで考えるようになりました。

少しは2年目らしくなった……ということにしておきます(笑)。


夏は、あっという間に過ぎていきます。

去年見た景色も、食べたものも、何気なく交わした会話も、そのときは当たり前だったのに、今では妙にはっきりと思い出せます。

だから今年も、ちゃんと覚えていたいと思います。

病院に漂うコーヒーの香り。

研修医室の空気。

島に来た先生たちとの何気ない会話。

夕方の海。

夜空いっぱいの星。

患者さんに言われた何気ない一言。

カルテを書き終えたあとの、小さな達成感。

来年の夏、私はもうこの島にはいません。

そう考えると、いつもの景色も、何気ない毎日も、少し特別に感じます。

佐渡の夏は、まだもう少し続きます。

海も、山も、花火も、当直明けのアイスコーヒーも。

残りの夏も、しっかり楽しみたいと思います。

きっと、忘れようとしても忘れられない夏になるはずです。

佐渡に、また夏が来ました。